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気になる改正、税務と会計の重要項目


<所得税> 「基礎控除」が縮減します

 2019年分の所得税では、すべての個人に基礎控除38万円が適用されています。
そのため、1年間の所得(儲け)が38万円以下であれば所得税は課税されません。
 基礎控除が38万円だということは、所得税法は「憲法が保障する健康で文化的な
最低限度の生活を営む」ために年間38万円は必要だと考えているともいえます。

 2020年以後の所得税より、基礎控除は一律10万円引き上げられて48万円とされる
一方で、合計所得金額が2400万円を超え2450万円以下の場合は32万円、2450万円を
超え2500万円以下の場合は16万円と控除額が逓減する仕組みに変更されます。
 そして、合計所得金額が2500万円を超える個人には基礎控除の適用がなくなります。

 なお、合計所得金額が2400万円(給与収入で2595万円)以下である給与所得者は、
基礎控除が10万円引き上げられる一方で、給与所得控除額が引き下げられるため、
この改正による税負担への影響はありません。

<相続税> 「配偶者居住権」の税務上の取扱い

 民法改正により「配偶者居住権」が創設されたことに伴い、相続等における
配偶者居住権の評価方法等の取扱いが定められました。民法改正の施行日である
2020年4月1日以後に開始する相続等より適用されます。

 配偶者居住権とは、相続開始時に配偶者が居住していた被相続人所有の建物を
終身または一定の期間にわたり無償で使用し続ける権利をいいます。配偶者居住
権を第三者に譲渡することは認められず、配偶者が死亡したときに消滅します。
 配偶者居住権は、(1)遺産分割協議、(2)遺贈(死因贈与を含む)、
(3)家庭裁判所の審判のいずれかの方法により取得することができます。
 つまり、相続等に伴い自然に発生する権利ではありません。相続後も配偶者が
自宅に居住する権利を保障するために、相続等の当事者間で設定する権利です。
 そのため基本的には、相続人間で争いがない円満な相続等において、配偶者
居住権が設定される事例は少ないと思われます。

 建物に配偶者居住権が設定されると、建物の相続税評価額は、配偶者居住権
と居住建物所有権に区分して計算します。土地については、敷地利用権(配偶
者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利)と敷地所有権(居住建
物の敷地の所有権)に区分して評価します。
 建物が古いほど、また、配偶者居住権の残存年数が長い(一般的には配偶者
が若い)ほど自宅評価額に占める配偶者居住権および敷地利用権の価額の割合
が大きくなります。

 なお今回の改正に伴い、相続開始時から少なくとも6か月間は自宅に無償で
住み続ける権利としての「配偶者短期居住権」も創設されました。配偶者短期
居住権は相続税の課税対象外とされます。
 このほか、配偶者居住権の付された不動産は物納劣後財産とする、配偶者居
住権の設定登記には、登録免許税(建物の固定資産税評価額の1000分の2)を
課すことも定められました。

<相続税> 自社株の納税猶予

 事業承継税制では、一定要件の下で、後継者に対する非上場株式の贈与に係る
贈与税の納税が猶予されます。その後、贈与者が死亡した時には、贈与税の納税
が猶予された非上場株式を相続により取得したものとみなして、贈与時の価額で
他の相続財産と合算して相続税を計算します。その際に、「中小企業における経
営の承継の円滑化に関する法律」(円滑化法)の確認を受け、一定の要件を満た
す場合には、特例措置の適用を受ける非上場株式の価額に対応する相続税の納税
が猶予され、後継者が死亡した場合に相続税の納付が免除されます。

 事業承継税制は、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を後継者で
ある受贈者・相続人等が贈与または相続により取得した場合に限り適用されます。
恒久制度である一般措置に加えて、2027年12月31日までの贈与・相続に対する
特例措置があります。
 特例措置では、複数の株主から最大3人(一般措置は1人)の後継者への贈与
等につき、非上場株式等の全株式(一般措置は総株式数の最大3分の2まで)が
納税猶予の対象となり、納税猶予割合は100%(一般措置の相続税は80%)に
引き上げられています。
 一般措置は自社株を承継した後5年間にわたり、平均8割以上の雇用維持が条件
となります。特例措置では、雇用の平均が8割を下回った場合にも、その理由等を
記載した報告書を都道府県知事に提出し、その写しを添付した継続届出書を税務
署へ提出することで、引き続き納税が猶予されます。
 特例措置の適用を受けるためには、2023年3月31日までに「特例承継計画」を
策定して都道府県知事に提出、確認を受ける必要があります。
 その後、経営承継期間中(申告期限後5年間)は毎年1回の都道府県知事への
報告と所轄税務署への継続届出の提出、納税猶予継続期間中(申告期限後5年経
過後)は3年ごとに1回の所轄税務署への継続届出の提出が必要とされています。

 継続届出書を期限までに提出しなかったり、納税猶予期間中に一定の事由(会社
の解散、後継者が代表者でなくなる、後継者以外の者が黄金株を保有する、後継者
が筆頭株主でなくなる、有償減資を行うなど)に該当した場合は、猶予税額の全部
または一部に加え利子税も合わせて納付しなければならないことに注意が必要です。

<相続税> 個人事業者に対する贈与・相続税の納税猶予

 青色申告者である個人事業者の事業用資産に係る贈与・相続税の納税猶予制度が
創設されました。青色申告者である「認定相続人」または「認定受贈者」が相続等
により「特定事業用資産」を取得し事業を継続する場合には、担保の提供を条件と
して、その事業承継者が納付すべき贈与・相続税額のうち、相続等により取得した
特定事業用資産の課税価格に対応する税額の納税が猶予されます。
 特定事業用資産とは、被相続人の事業(不動産貸付事業等を除く)の用に供され
ていた土地(面積400uまでの部分に限る)、建物(床面積800uまでの部分に限
る)および建物以外の減価償却資産で、青色申告書に添付される貸借対照表に計上
されている資産をいいます。

 認定相続人または認定受贈者とは、一定の承継計画に記載された後継者であって、
「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(円滑化法)の認定を受けた
者をいいます。
 贈与税の猶予税額は暦年課税または相続時精算課税のいずれかにより計算します。
 その後、贈与者の死亡時には、特定事業用資産(既に納付した猶予税額に対応する
部分を除く)をその贈与者から相続等により取得したものとみなし、贈与時の時価で
他の相続財産と合算して相続税を計算します。その際、都道府県の円滑化法の確認を
受けた場合には、相続税の納税猶予の適用を受けることができます。最終的には、
次のいずれかに該当する場合において猶予されていた相続税の全額が免除されます。
(1)認定相続人が、その死亡の時まで特定事業用資産を保有し事業を継続した場合
(2)認定相続人が、一定の身体障害者等に該当した場合
(3)認定相続人について、破産手続開始の決定があった場合
(4)相続税の申告期限から5年経過後に次の後継者へ特定事業用資産を贈与し、その
  後継者がその特定事業用資産について贈与税の納税猶予制度の適用を受ける場合

 なお、次のいずれかに該当する場合には、猶予税額の全部または一部とともに相続税
の法定申告期限からの利子税を併せて納付する必要があります。
(1)認定相続人が特定事業用資産に係る事業を廃止した場合 ・・・ 猶予税額の全額
(2)認定相続人が特定事業用資産の譲渡等をした場合 ・・・ その譲渡等をした部分
  に対応する猶予税額

<所得税> ふるさと納税の見直し

 ふるさと納税の対象となる地方団体を総務大臣が指定することになりました。
対象となる指定団体とは、次の基準に適合する都道府県等です。(6/1以後の寄附より)
(1)寄附金の募集を適正に実施する都道府県等
(2)(1)のうち次のいずれも満たす返礼品を送付する都道府県等
  @ 返礼割合を3割以下とすること
  A 返礼品を地場産品とすること

 指定対象外となった地方団体への寄附金は住民税での特例控除の対象外となり、所得税
および住民税の基本控除のみが適用されます。
 5月14日現在で、4市町村が対象外となり、43団体は9月末までに返礼品を見直すこと
を条件に経過的に対象とされています。また、東京都は当制度から辞退しました。

 ふるさと納税とは、本来、個人が納税(寄附)先を選択して住民税を納付することで、
その自治体の財政改善を応援する制度です。ただ現実には、寄附という本来の趣旨を離れ、
自治体からの返礼品を2000円の負担で受け取れる仕組みが強調されてきました。
 寄附を受ける自治体の税収は増える一方で、寄附者の住所地の自治体の税収が減少する
ため、自治体どおしの税収の奪い合いを生む原因となっています。

 そのため総務省は、制度の趣旨にそぐわない金銭類似性の高い商品券や貴金属などを
返礼品の対象から除外すべきこと、返礼品を寄附額の3割以下とすべきことなどを再三
にわたり各自治体に通知してきました。ただ、法的拘束力のない通知だけでは見直しを
実施しない自治体も散見されたために、今回の税制改正に至ったわけです。

 所得税では所得控除により、「(ふるさと納税額−2000円)×自分の所得税率」に
相当する金額の所得税額が軽減されます。ふるさと納税額は、総所得金額等の40%を
上限とします。所得税における所得控除に加えて、住民税では「基本分」と「特例分」
を合わせて、「ふるさと納税額(総所得金額等の30%を上限)−2000円」までの税額
控除を受けられます。住民税の税額控除は、住民税所得割額の20%を上限とします。

 ふるさと納税は、原則として確定申告により適用を受けます。ただし寄附をする自治体
数が5団体以内であれば、寄附先の自治体に申請書を提出することで、確定申告が不要と
なる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」があります。

<所得税> 「確定拠出年金」への加入と節税

 確定拠出年金(「iDeCo、イデコ」)とは、個人事業者や企業の従業員の
将来の年金準備を支援する私的年金制度です。すっかりお馴染みでしょうか。
2019年4月時点の加入者数は約123万人です。(2016年12月は約30万人)
 2017年1月より、従来は掛金控除の対象ではなかった専業主婦、公務員、
企業年金がある被用者についても加入できることとなっています。
 当制度では、自分が拠出した掛金を、自分が選択した金融商品に運用し、
資産形成を図ることができます。60歳になるまで掛金を拠出し、60歳以降に
老齢給付金を受け取ることができます。ただ60歳から給付金を受け取るには
10年以上の通算加入期間が必要です。通算加入期間が10年に満たない場合は
受給可能な年齢が繰り下げられます。

 確定拠出年金には、(1)掛金の拠出時、(2)運用期間中、(3)給付金
の受給時のすべての段階において、それぞれ次の税制上のメリットがあります。
 まず拠出時には、加入者区分ごとに定められている上限まで、掛金の全額が
所得から控除されます。支払掛金に自分の税率を掛けた分の節税効果があります。
ただし、パート収入等が103万円(給与所得控除(65万円)と自分の基礎控除
(38万円)の合計)以下の場合は、掛金について所得控除の恩恵はありません。

 続いて、運用期間中の運用益は非課税で再投資されます。定期預金や公社債の
利息、上場株式の配当金は税率20.315%(復興特別所得税と住民税を含む)で
課税されることと比較しても有利な制度といえます。
 最後に、将来の老齢給付金は、一時金または年金で受け取ることができます。
一時金には退職所得控除、年金には公的年金等控除が適用され、いずれも税負担
が軽減されます。
 なお、これらの税制優遇がある一方で、原則として60歳までは運用資産の途中
解約や引き出しはできません。また口座の開設と維持には手数料が必要です。

 掛金は月々5000円から始まり、1000円単位で自由に設定できます。2018年
より、年1回以上の任意に決めた月にまとめて拠出する年単位拠出ができるよう
になっています。年払いとすれば、拠出1回ごとに国民年金基金連合会へ支払う
103円の事務手数料を節約できます。その反面、年払いのタイミングによっては、
値上がり時点の高値で投資してしまうリスクが生じますので注意が必要です。
 また年払いでは、一定金額を継続的に投資することで取得価額を平準化できる
「ドルコスト平均法」のメリットを受けられません。

 加入者区分ごとの控除対象となる拠出限度額は次のとおりです。
(1)第1号被保険者(自営業者)
   ・・・ 国民年金基金掛金との合算で年額81万6000円(月額68000円)
(2)第2号被保険者
  @ 企業年金のない企業の従業員 ・・・ 年額27万6000円(月額23000円)
  A 企業型確定拠出年金のある被用者(企業型確定拠出年金への事業主掛金の
   上限額を42万円とすることを規約で定めている場合に限る)
   ・・・ 年額24万円(月額20000円)
  B 企業年金のある被用者・公務員等(企業型確定拠出年金と確定給付型年金
   を実施する場合は、事業主掛金の上限額を18万6000円とすることを規約
   で定めている場合に限る)・・・ 年額14万4000円(月額12000円)
(3)第3号被保険者(専業主婦等)・・・ 年額27万6000円(月額23000円)

<所得税> 上場株式の配当と確定申告

 証券会社の特定口座で受け取る上場株式の配当について得する選択を整理しておきましょう。
 配当所得を含めた課税総所得金額が900万円以下であれば所得税は総合課税の選択が有利です。
住民税は、所得税と異なる申告不要を選択することで税率5%の源泉徴収で課税完了とできます。

 上場株式の配当については「申告不要制度」または「確定申告」のいずれかを選択します。
 申告不要制度では税率20.315%(住民税を含む)の源泉徴収で課税は終了し、確定申告
の必要はありません。ただし申告不要にすると源泉徴収された税額は取り戻せません。
 確定申告を選択する場合には、申告する全ての配当について「申告分離課税」または
「総合課税」のいずれかを選択する必要があります。
 申告分離課税では、他の所得と分離して税率20.315%で課税されます。本年または前
3年以内の上場株式の譲渡損失との損益通算ができますが、配当控除は適用されません。
 総合課税では、他の所得と合計して、所得税は5.105%〜45.945%の超過累進税率で、
住民税は一律10%の税率で課税されます。
 総合課税を選択すると上場株式の譲渡損失との損益通算はできませんが、配当控除の適用
があります。配当控除とは、配当所得に一定率を掛けた金額を税額から控除できる制度です。
 配当控除の控除率は、配当所得を含めた課税総所得金額が1000万円以下の部分は12.8%
(住民税の控除率2.8%を含む)、課税総所得金額が1000万円を超える部分は6.4%(住民
税の控除率1.4%を含む)です。

 配当所得を含めた課税総所得金額が900万円以下であれば、配当控除適用後の実質的な
所得税率13.273%[=(23%−10%)+(23%−10%)×2.1%]が、配当に対する源
泉所得税率15.315%よりも低いため、総合課税による確定申告が有利となるわけです。
 なお、配当所得を確定申告することで合計所得金額が38万円を超えると、配偶者控除
や扶養控除の対象外となり、世帯主の税負担が増えてしまうことに注意してください。

 住民税について所得税と異なる課税方法を選択するためには、住民税の納税通知書が届く
前(翌年5月末頃)に、申告不要を申し出るための申告書を住所地の市役所に提出する必要
があります。これにより、住民税は税率5%の源泉徴収で課税関係は終了します。

<所得税> 給与所得控除と公的年金控除が縮減します

(1)給与所得控除の見直し
 給与所得控除(サラリーマンのみなし必要経費)の額を一律10万円引き下げるとともに、
給与収入金額が850万円(現行:1000万円)を超える場合は、195万円(現行:220万円)
が上限とされます。(2020年分の所得税より)
 ただし給与収入金額が850万円を超える場合であっても、本人が特別障害者に該当する人、
同一生計内に23歳未満の扶養親族を有する人、特別障害者である同一生計配偶者若しくは
扶養親族を有する人に対しては、負担軽減措置が適用されます。
 具体的には、これらの人の給与等の収入金額が1000万円を超える場合は、1000万円から
850万円を控除した金額の10%に相当する金額を給与所得の金額から控除します。
 例えば、給与収入が1200万円であれば、(1200万円−850万円)×10%=35万円が給与
所得から控除されます。結果として、改正前の給与所得控除220万円と同額が控除されます。
 この所得金額調整のための控除は「年末調整」において適用できます。

(2)公的年金等控除の見直し
 公的年金等控除の額を一律10万円引き下げるとともに、公的年金等の収入金額が
1000万円を超える場合について195.5万円の上限(現行:上限なし)が設けられます。
 また公的年金等(雑所得)以外の所得が多い人は、更に控除額が引き下げられます。
公的年金等以外の合計所得金額が1000万円を超え2000万円以下である場合は見直し後
の控除額から一律10万円、公的年金等以外の合計所得金額が2000万円を超える場合は
見直し後の控除額から一律20万円、それぞれ引き下げられます。
 なお、給与収入と年金収入の両方がある場合は、合わせて10万円を上限として控除
額が縮減します。具体的には、給与所得と公的年金等に係る雑所得の合計額が10万円
を超える場合は、給与所得の金額(上限10万円)と公的年金等に係る雑所得の金額
(上限10万円)の合計額から10万円を控除した残額を給与所得の金額から控除します。

<所得税> 消費税率アップと住宅ローン控除

 借入金により一定の要件を満たす国内の居住用家屋の取得等をした場合には、
その居住年以後10年間にわたり、借入金の年末残高に1%を掛けた金額を各年分の
所得税額から控除できます。この特例は、「住宅ローン控除」と総称されており、
所得者本人の合計所得金額が3000万円以下である年について適用されます。

 住宅ローン控除の対象となる住宅は登記簿上の床面積が50u以上であり、1/2
以上を居住の用に供しているものに限ります。居住用以外の部分がある場合には、
「住宅借入金等の対価の額または費用の額」に居住用部分の床面積の占める割合を
乗じて計算した金額とします。これらの住宅等を取得等した日より6か月以内に
居住し、かつ、年末まで引き続き居住の用に供している必要があります。

 消費税率が10%に引き上げられることによる住宅取得負担の軽減と住宅需要の落ち
込みに対応するため、住宅ローン控除の適用期間を3年延長し13年間とされています。
 これにより、消費税率10%である住宅等を取得し2019年10月1日から2020年12月
31日までの間に居住の用に供した場合には、現行制度の10年間の控除が終了した後
11年目から13年目までの各年についても引き続き住宅ローン控除が適用されます。

 居住年後11〜13年目までの各年は、次のいずれか少ない金額を税額から控除できます。
(1)住宅借入金等の年末残高(上限4000万円)×1%
(2)住宅の取得等の対価の額または費用の額(税抜で上限4,000万円)×2%÷3

 例えば、借入金の年末残高が3000万円の場合、当初10年間は30万円(=3000万円×1%)、
11年目から13年目までの各年は20万円(=3000万円×2%÷3%)が税額から控除されます。
 所得税から控除しきれない金額は、課税所得金額の7%に相当する金額(上限136,500円)
を翌年の住民税から控除できます。結果として、住宅ローン控除の適用が延長される3年間は
消費増税分2%の控除を受けられることとなります。

 なお、消費税率10%で課税された住宅の取得に際して、補助金等の交付や直系尊属から
住宅取得資金の贈与を受けて贈与税の非課税特例を適用した場合であっても、その補助金
等の額または贈与された額を住宅の取得対価から控除する必要はありません。
 

<所得税と法人税> 会社と個人の取引での税務上の留意点<1>

 会社と経営者の「金銭貸借」
(1)個人から法人への金銭貸付け
 個人から法人への金銭貸付けにおいて、適正な金利水準の利息収受を行う場合、
受け取った個人側は雑所得として課税され、支払った法人側は営業外費用として
損金に算入されます。
 しかし、市場金利と比較して高すぎる金利水準で利息を受け取っている場合には、
適正水準を超える利息部分は会社から個人への給与とされます。毎月の支払利息が
定期同額であれば、役員給与として損金算入されますが、会社に源泉所得税の徴収
義務が生じます。

 なお、個人から法人への貸付けは、極端なケースを除き、無利息または低金利で
あっても問題はありません。所得税法では、原則として、実際に得ていない収入に
対して課税する「みなし課税」は適用されないためです。
 法人側においても、支払うべき利息相当額の免除益と支払利息の損金算入額が同時
に認識されることで、所得金額の計算に影響を与えません。
 結果として、個人から法人への貸付けについては、無利息または低金利であっても
税務上の問題は生じません。
 ただし、経営規模等から見て余りに多額で経済合理性を欠く無利息貸付けは「同族会
社の行為計算の否認」が適用されることがあります。過去にも、個人から法人への巨額
の無利息貸付けに対し、個人側に適正金利での利息収入を認定課税した事例があります。

(2)法人から個人への金銭貸付け
 法人から個人に対する貸付けでは、病気や災害を原因とする融資を除き、原則として、
経済的に合理的な利息を収受しなければなりません。適正な金利水準に満たない部分の
金額は法人から個人への経済的利益の供与として給与課税の対象となります。ここでの
適正な金利水準は、所得税法における現物給与とされないための利率を参考にします。
 会社が金融機関から借りた資金をそのまま個人に貸し付ける「ひも付き融資」では、
その借入金の金利以上の利息を収受する必要があります。
 その他の貸付金(会社の余剰資金の貸付けなど)は、基本的に、2019年分の貸付けは
は年1.6%以上の金利を受け取るべきとされています。ただし前年中の会社の借入金平均
調達金利等により利息徴収額を計算することも認められています。

<所得税と法人税> 会社と個人の取引での税務上の留意点<2>

 会社と経営者の「土地の貸借」
 個人と法人間の土地の貸付けでは権利金および地代の認定課税に留意しましょう。
 なお、更地で駐車場や資材置き場等として利用するための土地の貸付けでは借地権の
課税問題は生じません。

(1)「権利金」の認定課税とは?
 他人が所有する土地を借りて建物を建築する場合には、土地を利用する権利である
「借地権」が建物所有者に移転します。
 一方で、土地所有者は土地を自由に使用できないため、底地の評価額が下がります。
そのため、第三者間の土地の貸借では借地権に相当する権利金を支払うことが一般的です。
 このような経済事情を考慮し、税務上、権利金を収受する慣行がある地域で無償または
低額の権利金の授受により堅固な建物建築を行った場合には、借地人に対して権利金相当
額の受贈益に課税がなされます。これを「権利金の認定課税」といいます。

 権利金の認定課税を避ける例外措置には、@相当の地代を支払う、またはA「無償返還に
関する届出書」を提出したうえで相当の地代を支払う、という2つの選択肢があります。
 @相当の地代(基本的に、土地の相続税評価額×6%相当額)を支払う場合には、当初の
地代を固定するか、地価上昇に合わせて3年毎に地代を改訂するか、いずれかを選択します。
 当初の地代を固定して支払う場合は、建物所有者に、借地権が自然発生的に移転するもの
とみなされます。
 A「無償返還に関する届出書」は、将来、借地人が土地を無償で返還し、その際に立退料
等を請求しない旨を定めた賃貸借契約書を添付して、契約締結後の最初に到来する確定申告
期限までに納税地の所轄税務署長に提出します。

(2)個人から法人への土地貸付け
 権利金の授受をせず、個人が所有する土地に法人が建物を建築した場合は、借地人である
法人に対して権利金相当額の受贈益に課税がなされます。上記の「無償返還に関する届出書」
を提出することにより権利金の認定課税は見合わされます。一方で、個人地主側に対しては、
受け取っていない権利金相当額に対する認定課税は行われません。
 なお相当の地代に満たない地代を支払う場合、差額について利益供与の問題が生じますが、
土地所有者である個人側では地代の認定課税は行われません。また借地人である法人側では、
地代の認定課税と支払地代の損金算入が相殺され、結果として、課税関係は生じません。

(3)法人から個人への土地の貸付け
 権利金の授受をせず、法人が所有する土地の上に個人が建物を建築した場合は、法人には
権利金相当額の収益と同時に、臨時的な役員給与の支払いがあったとみなされます。
 役員賞与として法人側で損金不算入となるとともに、個人側でも所得税が課税されるため、
税務上は大変不利な扱いとなってしまいます。
 この場合も、「無償返還に関する届出書」を提出すれば権利金の認定課税はなされません。
 地代支払額が相当の地代に満たないときは、差額は役員に対する定期同額給与とされます。
過大報酬とされない限り損金算入されますが、法人側に所得税の源泉徴収義務が生じます。

<所得税と法人税> 会社と個人の取引での税務上の留意点<3>

 会社と経営者の「土地の売買」
 法人が資産を売買する場合(グループ法人間の資産譲渡を除く)には、基本的に、
適正な時価で取引を行う必要があります。法人税の課税対象となる「益金」には、
無償(時価より低廉な価額での取引を含む)による資産の譲渡や譲受けによる収益
も含まれるためです。

(1)法人から個人への低廉譲渡
 法人税法では、営利を目的とする法人が時価よりも安く、またはタダ(無償)で資産を
譲渡して損することは不自然であると考えます。
 本来ならば、適正な時価で売買するのが合理的な取引だからです。

 例えば、甲社が役員Aに対して、時価1億円で帳簿価額5000万円の土地を3000万円で
譲渡した場合の税務処理を考えてみましょう。
 法人税では、甲社は時価1億円で、いったん役員Aに売却し、その後、実際の売却価額
3000万円との差額7000万円を「役員賞与」という形で支給したものと考えます。同時に、
時価と帳簿価額との差額5000万円は固定資産売却益として法人税の課税対象となります。
 固定資産売却益に対して法人税が課税されることに加えて、法人の課税所得の計算では
役員賞与が損金に算入されないため、結果としてダブルで課税されます。
 一方で、役員は時価よりも安く土地を購入したことで経済的利益を得ます。時価と購入
価額の差額は譲渡所得ではなく給与として課税されます。役員賞与については、法人側に
所得税の源泉徴収義務が生じます。

(2)個人から法人への低廉譲渡
 個人が所有する土地を法人に譲渡する場合において、譲渡時の時価の2分の1未満の価額
で売買が行われたときは受け取った売却代金に関わらず、その土地の時価で譲渡があったも
のとみなし、譲渡所得の課税がなされます。
 所得税の計算において、「みなし課税」が適用される唯一のケースです。
 また、時価の2分の1以上の譲渡対価であっても、「同族会社の行為計算の否認」の規定
に基づき、時価による譲渡があったとみなして所得税の計算がなされる場合もあります。
 この場合は、土地を無償または低廉な対価で譲受けた法人に対しては、時価と取得価額と
の差額を受贈益として課税対象に含めるとともに、土地の取得価額に加算します。

<所得税と法人税> 会社が負担する経営者の個人的費用<4>

 会社が負担する家賃や保険料
 役員の個人的な費用を会社が支払った場合は、その経済的利益に対して所得税が課税
されます。例えば、会社が自宅家賃を負担することや、一部の役員等のみを被保険者と
する生命保険料を支払うことはその役員に対する給与とされます。
 なお、役員に対して継続的に供与される経済的な利益のうち、家賃や保険料のように、
その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与に含まれます。

(1)役員の家賃負担
 住居手当等の名目で支給する金銭、役員本人が契約した賃貸マンションの家賃の一部
を会社が補助する金額は、その全額が役員給与とされます。
 一方で、会社が所有する家屋または会社が借り上げた家屋を役員に貸与する場合は、
所得税が定める一定の適正な家賃(法定家賃)を徴収すれば所得税は課税されません。
 役員から徴収すべき法定家賃は、家屋の床面積や使用状況で異なります。具体的には、
@小規模社宅、A小規模社宅以外の社宅、B豪華社宅(床面積240u超またはプール付き
の家屋等)、により法定家賃の算式が定められています。
 このうち小規模社宅とは、木造以外の家屋で(共用部分を含めた)床面積が99u以下
のものをいいますので、通常、3LDK程度の家屋は小規模社宅に該当します。
 小規模役員社宅は、会社所有か借上社宅を問わず、所得税が定める法定家賃の金額以上
の家賃を本人から徴収すれば所得税は課税されません。借上社宅の場合は、家屋の所有者
(家主)から固定資産税の評価証明書を入手したうえで計算する必要があります。

(2)生命保険料の負担
 保険金受取人が遺族となっている定期保険(掛け捨ての死亡保険)で一部の役員等のみ
を被保険者とする場合の保険料相当額は役員給与となります。死亡保険金も生存保険金も
支払われる養老保険は、すべての保険金受取人が会社であれば保険料は資産計上し、本人
または遺族が保険金受取人の場合は、役員に対する給与となります。
 養老保険のうち、死亡保険金は遺族、生存保険金は会社を受取人とする契約の場合は、
保険料の2分の1は資産に計上し、2分の1は役員に対する給与となります。

<個人事業と法人の違い> 税額計算

(1)個人事業者
 事業所得は給与や不動産所得など他の所得との合計所得金額に対して総合課税されます。
総合課税では、所得金額が高くなるほど所得税率が高くなるしくみ(超過累進税率)です。
なお利子、土地・建物の譲渡、株式の譲渡、退職所得など一定の所得は分離課税とされます。
 課税所得金額が4000万円を超える場合は、所得税の最高税率45.945%と住民税10%が適用
され合計税率は55.945%になります。このほか住民税の均等割として5000円が課税されます。
 これに加えて個人事業者は、事業税(事業の種類により3%〜5%)も課税されます。
事業税は、所得から年290万円の事業主控除額を控除した課税所得に税率を乗じて計算します。
 所得税と住民税は必要経費になりませんが、事業税は支払時の必要経費に算入されます。
 社会保険について、個人事業者は、基本的に、年金制度は国民年金の第1号被保険者になり
(約20万円/年)、健康保険は国民健康保険または同業者組合等が組織する健康保険組合等
に加入します(保険料は組合の財政、自身の所得等で異なり、約30万円〜90万円/年)。

(2)法人
 課税所得金額に対して「一定の税率」により課税され、中小法人では、年800万円までは15%、
年800万円を超える部分は23.2%の2段階の法人税率を適用されます。
 法人住民税は、法人税額に対して一定税率で課税する法人税割と、所得金額の大小に関わりなく
一定額で課税される均等割から構成されています。法人税割の標準税率は12.9%ですが、財政事情
により標準税率を超える税率で課税する自治体もあります。(税率の上限(制限税率)あり)
 均等割の最低税額は7万円で、赤字の会社にも納税義務があります。
 中小法人に対する事業税の標準税率は、年所得400万円以下の部分は3.4%、400万円超800万円
以下の部分は5.1%、800万円を超える部分は6.7%です。標準税率での事業税額に対して43.2%の
地方法人特別税も課税されます。事業税と地方法人特別税は支払日の損金に算入されます。
 結果として、事業税等が損金算入されることを計算に入れた実効税率は約30%となります。
 社会保険については、社長1人の会社であっても給与支給がある場合は、健康保険・厚生年金
へ加入義務が生じます。本人と会社の両方での負担(労使合わせて報酬の約30%)となります。

<個人事業と法人の違い>  日当の支給

 出張中の食事代やその他の雑費的な支出に当てるために支給する実費弁償的な手当を日当
といいます。個人事業者と法人では、日当の支給について大きな違いがあります。

(1)個人事業者
 個人事業者が事業活動で必要な商談等で出張するのための電車代やタクシー代、ホテル代を
負担する場合の支出は旅費交通費という科目で必要経費に算入されます。
 しかし残念ながら、個人事業者本人への日当の支給は必要経費とはされません。
 また、遠方への出張では体も疲れるものですが、個人事業者へ出張手当の支給できません。

(2)法人
 法人の場合には、役員または従業員が事業遂行に必要な出張に出掛けた時の旅費交通費は
費用計上されるとともに、出張に対する出張手当や日当を支給することもできます。
 出張手当は、会社にとって給与の一形態としての費用ですので、受取人である個人側では
給料手当となり所得税課税の対象となります。
 一方で、日当は旅行期間、目的地、世間相場、役職などを勘案して、通常必要とされる妥当
な金額であれば、非課税の手当として取り扱われ、本人の所得に含める必要はありません。
 つまり、社会一般的な水準や本人の職務内容、地位等から見て妥当な金額の日当であれば、
会社側では出張旅費の一環として旅費交通費として費用になるとともに、受け取った個人側で
非課税の所得となり所得税は課税されないこととなります。社長1人という小さな会社でも、
経営者である自分自身へ出張に対する日当を支給できます。
 また、日当支給額は旅費交通費と同じく消費税等の計算で仕入税額控除の対象となりますが、
出張手当は給料であり消費税等の課税対象外です。

<個人事業と法人の違い>  交際費の取扱い

(1)個人事業者
 個人事業者が商売拡大や得意先との関係維持のために支出する業務上必要とされる接待、贈答、
慶弔、手土産代などは、所得税の計算において、その全額が交際費として必要経費に算入されます。
 ただし、家事費と明確に区分して経理し、請求書、領収書などを整理保存する必要があります。

(2)法人
 法人が支出する交際費については、一定額を費用として認めない(損金不算入)規定があります。
 交際費の損金不算入額は会社の期末資本金額により異なり、資本金が1億円を超える大法人では、
交際費全額が損金不算入とされます。
 資本金1億円以下の中小法人(資本金5億円以上の法人の完全支配関係にある法人を除く)には
年間800万円の損金算入枠があります。そのため、交際費が年700万円ならば全額が損金算入され、
年1000万円ならば200万円は損金に算入されず利益に加算されて課税対象となります。
 なお得意先等との1人当たり5000円以下の少額飲食費は会社規模を問わず、すべての会社で税務
上も損金に算入されます。(飲食日、飲食店名、得意先等の個人名、合計参加人数を記録して保存)
 交際費の損金不算入制度は「行為課税」とも言われており、未払金や仮払金などの経理処理を
問わず、接待行為をした事業年度において損金不算入額の計算をします。そのため、会食をした日、
ゴルフ接待をした日、旅行招待をした日の属する事業年度の交際費として取り扱います。
 なお、事業に関係のある者すべてが接待交際の相手先に該当しますので、直接の取引先以外にも、
会社の役員、従業員、株主などへの接待行為も交際費課税の対象となるケースがあります。
 また、接待行為のため付随的に必要となる費用も交際費として処理しなければなりませんので、
接待場所までの旅費交通費、ゴルフクラブの年会費なども交際費となります。
 法人では、交際費課税を避け、交際費以外の会議費や売上割戻し、広告宣伝費などを上手に利用
して、同じ販促効果をあげる工夫も大切です。

<個人事業と法人の違い>  事業所得と役員給与

(1)個人事業者
 個人事業者の場合には、暦年に稼いだ収入から必要経費を差し引いた残額の儲け(事業所得)が
所得税の課税対象となります。
 個人事業者から事業主へ給与を支払うという考え方はないので、自分自身への給料賞与、退職金
などは必要経費ではなく、自分のために消費したお金(家事費)であると認識されます。
 事業での儲けは事業主の経営努力の成果として個人事業者が自由に使ってよいお金であるため、
事業所得から引き出した生活費は、「事業主貸」で仕訳することになります。

(2)法人
 法人を設立して役員として経営を行なう場合は、会社と経営者は異なる人格を持つ存在になります。
この場合には、会社という「法人」が経営者という「個人」に対して、適正な役員給与を支給します。
 役員給与のうち損金算入されるのは、月給(定期同額給与)と事前に届け出たうえで支払う賞与
(事前確定届出給与)、そして会社の経営者を退くときに支払う役員退職金です。
 いずれも仕事内容から見て不相当に高額とされる部分の金額は損金に算入されません。
 給与には給与所得控除、退職金には退職所得控除という「みなし経費」の控除が認められています。
 例えば、役員報酬1000万円に対しては220万円の給与所得控除額がみなし経費として控除されます。
 退職金に対する所得税は、退職金から退職所得控除額を差し引いた残額を2分の1した金額につき
他の所得と分離して課税されます。例えば勤続年数20年の場合は、退職金から退職所得控除額800万円
を差し引いた金額を2分の1して退職所得を計算します。
 給与所得控除と退職所得控除は、各人の個別事情は考えず収入金額に応じて自動的に計算されますが、
実際には金銭を支出していない額をみなし必要経費として認めてくれる税制優遇です。
 結果として、法人側では適正額の役員報酬と役員退職金が費用計上されるとともに、個人側では
みなし経費の控除が認められることにより、法人と個人の両方で税負担が軽減されます。

つづく・・・

覚えておきたい、
法人税申告の基本をチェック


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